今回のプレイの全体の流れを簡単に見ていきたいと思います. 米国側の視点が多くなっていますが,これは米国側の計画の方が 状況を左右した強い特徴を持っていることが多かったためです. [総評] 結局,今回のプレイでは米国巡洋艦隊のダイス目が少々悪かったことと, 米艦隊が散り散りになり,各個撃破されてしまったことのために 米艦隊は事実上全滅に等しい被害を被ってしまいました. 散り散りになった各部隊がそれぞれに不利な戦いを強いられ, その間,巡洋艦の火力を十分に活かしきれなかったことが 米軍の敗因でしょう. [‘誤算’の第1ターン] 第1ターンの特徴を一言でいうならば,‘誤算’でしょう. ・日本側の総司令が敵巡洋艦を視界外に見失ってしまい,  状況を捉えづらくなってしまったこと. ・米軍,オレ隊のプロットミス. ・米軍巡洋艦が引きこもり過ぎて,突出した駆逐艦以外の攻撃目標を失ったこと. とはいえ,まだこの時点では互角の勝負といったところでした. お互いのミスが相手にプレッシャーを与える結果になっていたためです. 従って,第2ターンの機動で如何に有利な態勢を作るかが 明暗を分けるという状況であったわけです. このターンで両軍とも1艦ずつの駆逐艦を失います. しかしこの喪失は同じ1艦でも米軍側が遥かに不利なものでした. 日本側のそれは独航艦であったのに対し, 米軍のそれは隊列の中にある艦であったためです. その結果,次のターンでは残骸との衝突を回避するために 米軍の移動に制約ができてしまったと言えるでしょう. さらに悪い結果を招く原因となったのは, 砲撃フェイズ直前の指示が雷撃のための突撃となっていたことです. (これは私としては勝負を急ぎすぎたのでは?と感じます.) [‘分散’の第2ターン] このターンの機動が勝敗を分けたと言えるでしょう. まず南方のオレ部隊ですが,少々特殊な機動を行っています. この特殊な機動が,運良く前ターンに放たれた魚雷の回避行動となりました. しかし,この機動により主力巡洋艦部隊との距離が開き, さらにその間に日本艦隊に割り込まれて 部隊の合流を不可能にしてしまいました. 結果として,4対7の不利な戦いを強いられることになったのです. さて北方はどうかといえば,先の突撃命令が艦隊陣形の乱れを招いています. 巧く艦隊がまとまっていれば,米艦隊は火力で勝っていたでしょう. しかし実際には2艦が突撃,2艦が中間位置に止まり, 主力の巡洋艦隊は後方に位置するという形になりました. その結果,一部の艦が砲撃を阻害することになってしまいました. この状況を作る大きな原因の1つが沈没艦の残骸であったことは 見て取れるでしょう. それに対し日本側はきちんとした艦隊行動を取っています. その差が大きく現れたターンでした. きちんと艦隊行動をすることは,単に美しいだけではなく, 相手艦隊の行動を制約したり,効果的な攻撃目標選択を行い易くします. (ある位置に壁があって通過できないとしたら,動きはかなり制限されますよね.  また,艦がばらばらに存在するとどの艦がどの目標を攻撃すべきかで  混乱しやすくなりますよね.) 相手の行動が限られてくれば,より有利な態勢に導くことも容易です. さて,移動後の砲撃に運がなかったことが米軍の状況をさらに悪化させたようです. 霧島に集中した射撃はことごとく外れ, 逆に突出していたアトランタは霧島の砲撃で,戦闘力を喪失します. (ただし射撃距離,火力の大きさを考えるとそう珍しい結果でもないでしょう.  米国の方が少し運がなかったという程度でしょうか.) しかし,日本側司令の一人が言っていたように, 米軍はなぜもっと照明弾を使わなかったのかが不思議です. レーダーはあるもののレーダー射撃はできず, 日本に比べて視界は狭いのですから,照明弾によって視界を補う必要性が より強いのではないかと思えるのですが... [‘危機’の第3ターン] 日本の巡戦の突然の180度回頭により状況は大きく変化します. これにより,米軍巡洋艦に対し縦射可能な位置に付けることができました. これは米軍にとって危機的状況です. しかし,これは日本軍にとっても非常に危険な状況であったと言えるでしょう. うまく砲撃が命中して,巡洋艦の攻撃力を奪えればいいのですが, もしそれに失敗した場合,巡戦が護衛もなく4艦の巡洋艦を相手しなければ ならない可能性が非常に高いためです. そのような状況になり巡戦が大破させられれば, それまでの有利はすぐに覆されてしまうでしょう. (可能性としては十分にあります.) 実際には運が味方し,2艦の重巡の戦闘力を奪い去ることができました. しかし,上に述べたような危険な状態にあったことも事実です. 南方は接近戦となっています. 衝突の危険もありましたし,至近距離での魚雷の撃ちあいで, 実際に命中魚雷を受ける艦もでています. さらに米艦隊は日本艦隊の中にすっぽりと包まれる形になってしまいました. こうなると全滅しても不思議ではありません. 状況不利と見たら,ちょっと距離を取った方がよいかもしれません. さてこの状況ですが,ちょっと見ただけですと 巡洋艦隊の後方3艦は先頭艦が障害艦となり,浮遊戦力となっているかのように 見えるかもしれません. しかし,実際には日本駆逐艦にとって非常に危険な状態であるとも言えます. 障害艦が存在するために砲撃しづらい巡戦2艦とその障害艦を盤面から消してみると 自由に駆逐艦をねらい撃ちできる巡洋艦という図が見えてきます. しかもそれら駆逐艦はすぐそばに敵がいるため巡洋艦まで手がまわらない. 事実,雪風は一気に粉砕され沈んでいきました. このターンの結果は巡戦の主砲が十分に効果を上げ, 日本側が危機を乗り越えることになりました. [‘惨劇’の第4ターン] 第4ターンは極めてブラッディな展開となりました. 何艦もが沈んでいっただけでなく,両軍の旗艦の撃ちあいで, 両軍とも総司令官が死亡,ないし旗艦沈没により消息不明で 失われる結果となりました. すでに勝敗は決しました. [‘崩壊’の第5ターン] 米軍は完全に勝利の女神から見離されてしまいました. 米軍戦力は完全に崩壊しました. しかし,日本側も少々深追いが過ぎたようです. 米軍もジュノーを失うことになりましたが, ヘレナとの衝突により,船体はまだ無傷であったはずの五月雨が轟沈. 天津風の放った魚雷が霧島に命中,損傷させる. アトランタの損害状況の判断ミスによる深追いで, 照月がオバノンの返り討ちにあい,沈没. 村雨,暁も米巡洋艦の砲撃で沈められる. とはいえ,この程度でこれまでの差が埋るわけもなく, 日本側が勝利をものにしました. 米艦隊はほぼ全滅しましたが,日本側の被害も小さなものではありません. 無傷なのは春雨だけ. 飛行場への艦砲射撃計画は決行不能となりました. (史実はもともとそのための出撃でした.) 日本側も今後の戦力回復にかなりの時間を労力を要することでしょう.