Plan Begin 3 Plan ザンジバル 【1942/12/31 X時 マイナス45分:巡戦ハワイ ブリーフィングルーム】 諸君。 たった今、巡戦1重巡1を主力とするジャップの艦隊がこの鉄底海峡に急行している 事が判明した。敵の目的は不明だ。私の予想ではあと半時間もすれば左舷方向に敵 影が入って来るだろう。本艦隊の任務は猿共に水泳を教えてやる事だ。 では我が方の作戦を発表しよう。 まず、砲撃の方針だ。 砲撃は臨機応変に行う。…では話にならんか。基本的には同級艦を狙って撃て。駆 逐艦は照射を目的とせよ。が、こだわるな。なるだけ多くの弾が敵に注ぐようにし ろ。猿が一匹死ぬ毎に平和は近付いてくるのだ。ためらいは無用だ。 次に機動だ。 わしは敵の雷撃を待ったりはせん。敵に積極的に雷撃させてやろう。追い詰められ て雷撃されるなどわしの性分に合わん。 まず最初は西によりつつ直進、敵に接近する。そうすれば敵は好機と見て雷撃をす るだろう。敵の雷撃時期がわかっており、自分が中央にいれば逃げ様はなんとでも ある。おそらく敵は我が方が北西か北東、あるいは北に直進するものとして雷撃位 置に付くだろう。 そこで我が艦隊はその場で回転し、南西に向けた縦陣を引く。ついでに回転しなが ら雷撃するのもよかろう。北上する敵艦を縦射し、我が魚雷が敵を葬る千載一遇の チャンスだ。この段階で彼我の戦力バランスは我が方に圧倒的に有利になっている だろう。 とにかくだ、わしの言いたい事はだ、 「ばーーんといけ!ばーーんと!」 という事に尽きる。諸君らの祖国への忠誠と献身を期待する。 …以上だ。 Plan End Assign Begin ザンジバル Hawaii Baltimore Cleveland Clark Zellars L.K.Swenson Assign End Comment Begin *** ザンジバル 司令からのコメント *** 以下“超甲巡かく斗えり”(ミル著、腹書房刊)より抜粋。====================== …その時、臨時編成された艦隊の司令はザンジバル提督。会った第一印象は攻撃僻 の強い危ない人という感じであった。 しかし、あの戦争を戦った多くの将軍、例えばニミッツやパットン、マッカーサー にルメイは危ない人ではなかっただろうか?単に危ない人だからといって、いきな り否定するわけにはいかないだろう。それがとりわけ、戦争というもっと大きな狂 気の中では。 <訳者註> 初版第三刷まではこのあとに次の文章が続いていた。 「しかし、もしあの戦争がなかったら、彼らを合衆国内で野放しにしなくては いけなかったと考えると、椅子の座り心地が悪くなるのは私だけだろうか?」 しかし、提督がその時提示した作戦計画には唖然とした。提督はあの酸素魚雷を全 くおそれていないのだ。すでに酸素魚雷の威力、精度は伝説的なまでになっていた のにだ。 戦後10年してさえ酸素魚雷の猛威は日本人の心に残っていたらしく、我々の水爆実 験でうまれた巨大生物が酸素駆逐艦なるものに一撃で倒されるという映画まで出来 たほどだ。 私はこの作戦計画をなんとか安全な方向に持っていこうと考えた。極めて危険な賭 けだと思えたからだ。 ========================================================================== Comment End