Plan begin 11 plan 加藤寛治 連合艦隊司令長官の加藤である。 過日、米帝国主義はその本性を現し、我が栄えある大日本帝国にその牙を剥い た事は、皆も既に承知していると思う。 然るに、我が統治領たる南洋諸島に、奴等が手を伸ばしているのは事実である が、その艦隊が、このソロモン諸島近海で活動している、との情報を掴んだ。 出来れば全力で叩きたいところであるが、我が方は、敵に不意を衝かれたため、 (燃料の前進基地への備蓄が間に合わず)多くの艦を本土とトラックに留め置 かざるを得ない。 しかし、敵の動きは目障りであり、これを放置する事は、我が方の防衛態勢に 重大な影響を及ぼす事が考えられる。従って、我が方は、巡洋戦艦を主体とし た、高速機動部隊で敵艦隊を捕捉、撃滅する事にした。 本来ならば、巡戦部隊の指揮は、所属の第二艦隊司令長官に任せるところであ るが、今回は、私がこれらの部隊を直率し、敵を断固として撃滅せしむるもの である。 諸君は、日頃の猛訓練の成果を発揮し、各自の任務を全うせよ。 以上で訓示を終わる。 Plan end Assign begin 加藤寛治 尾張 天城 赤城 神通 龍田 睦月 卯月 神風 追風 朝風 Assign end Comment begin *** 加藤寛治 司令からのコメント *** 「長官、訓示だけでよろしいのですか?」 『構わん』 「しかし、具体的な作戦については………」 『もう作戦云々を言う余地はなかろう。敵はすぐそこだ』 「は………」 『後は、鍛えあげた部下を信じる事だ、次席参謀』 艦を沈め、多くの殉職者を出させたほどの猛訓練をやっただけに、長官は自信 に満ちていた。だが、次席参謀は密かに危惧した。果たして、どれだけの部下 が付いて来るだろうか、と。しかし、敵を目の前にして、全軍にそのような気 配は微塵も見られなかった。戦争というものは、勝てば官軍、なのであった。 しかし、敵が近くにいる事は分かっていたが、索敵手段が幼稚なこの時期に、 正確な情報など分かろうはずもなかった。まして、既に夜である。全くの不時 会敵になる公算が高く、全員、いつ戦いが始まるか、と緊張は頂点に達してい た。艦橋は沈黙が支配し、鈍い機関の音と艦が波を刻む音しか聞こえて来ない。 Comment end